本当に面白いミステリーコミック、Q.E.D.iffの10巻を読んだ。無印から数えて計60巻、いまだにハイオリティな作品を生み出し続ける加藤さんには恐れいる。

Q.E.D.iff -証明終了-(10) (講談社コミックス月刊マガジン)
- 作者: 加藤元浩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/06/15
- メディア: コミック
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1本目「アウトローズ」は、豪華客船内で行われる1億ドルをかけた大勝負に、燈馬くんと水原さんが挑むという話。ライバルは、それぞれ一癖ある得意技を持った5組の悪党たち。それぞれが一本もったカギをすべて集めたものが勝者になるというが…。
Q.E.D.にはこういう大きな仕掛けも似合う。これまで身近なものから国際的なものまで様々な事件を解決してきた燈馬くんと水原さんコンビは、もはやどんな場にもなじんでしまうほどの存在感がある。
といっても、もちろんこの二人がガチで1億ドル目当てで参加したはずもなく、そこにはとある富豪の思惑が関わっていた。海千山千の参加者を出し抜き、主催者の思惑すらも超えて導き出された証明とは。
いろいろな思惑で動く参加者を冷静に観察し、思い通りに操って見せる燈馬くんが相変わらず格好よすぎ。2重3重のどんでん返しも併せて大満足のエピソードだった。
ところで、途中で変装名人の参加者が、水原さんを装って燈馬くんのもとへやってくるシーンがあるんだけど、完全に水原さんを燈馬くんの恋人設定で来たので、ドキッとする場面が。この二人、はたから見たら付き合っている以外のなにものでもないのだけど、無印時代に一度、「まだ二人の関係には名前がついていない」というふわっとした理由でごまかした経緯がある。もう、いい加減、付き合ってるでいいんじゃないかなあと思ってしまう。
2本目「ダイイングメッセージ」は、とある島にあるリゾートホテルの廃墟を破壊しようとしたところ、柱の中から人骨が出てきた…という話。たまたま、積読を崩すためにこの島をおとずれていた燈馬くんは、積極的に自らトラブルに飛び込んでいく水原さんのせいで事件に巻き込まれる。
これも面白かった。被害者は誰?という謎でひっぱりつつ、過去にホテル建設にかかわった人物たちの関係を紐解いていく。これがまた全員がうさんくさく怪しいのである。燈馬くんが紐解いた結末は意外、というほどではなかったけれど、余韻を感じさせる名シーンになっていた。
今回も変わらず面白く、特に「アウトローズ」は舞台といい仕掛けといい最高だった。やはりQ.E.D.は最高峰のミステリコミックに間違いない。明日は姉妹編C.M.B.感想の予定です。