この間、久しぶりに妻に本気で詰められて精神的に危うい感じになってしまった。こういう時の妻の会話テクニックは、警察の尋問とかにも通じるところがある(ドラマ知識)。なんか過去に特別な訓練を受けたのではないかと思うほどだ。おそらく、人を追い詰める天性の才能を持っている。この才能を生かす道に進めば大成したのではないか。今回は、そんな妻の会話術を紹介する。
ことの発端は、私と妻とで、もともとある日に約束している予定があったこと。約束の前日、妻から一つの報告があった。その内容は、直接的な表現ではないけど、予定の日時を1日前倒しする必要を示唆するものだった。しかし、私はその関連付けが出来ず、当初の予定通りの行動をしてしまった。何がなんだかわからないと思うけど、なんかそういうことがあって妻が立腹したんだな、と思ってほしい。
会話術1 心の否定
【私の発言】
ごめん、連絡もらったのはわかってたんだけど、前倒ししなきゃいけないって思いつかなかった。
【妻の発言】
「結局さ、あなたはやる気がないんだよ」
「とりあえず約束だからやっとけばいいくらいに思ってるから、そういうことになるんじゃないの」
まず、行為自体ではなく、お前の人格、心のもちよう自体が問題なのだ、と定義し、事の重大さを意識させる。
会話術2 説明の否定
【私の発言】
ごめん、久しぶりだったから、○○だとスケジュールがずれるの忘れてた。
【妻の発言】
「言い訳しないで」
「あなたって、いつも何か理由をつけて正当化しようとするよね」
自分の事情を説明したり理由を述べる機会を奪い、「お前が悪い。その事実は動かない」ということを明確にする。
会話術3 協力の否定
【私の発言】
確かに、俺の察しが悪いのがいけないんだけど、俺って本当ににぶいから、できれば「○○だよ」だけじゃなくて「○○だから1日早まるよ」って言ってもらえると本当に助かる。
【妻の発言】
「私のせいだって言うの?」
「すぐ人のせいにして、反省してない証拠だよね」
問題解決に協力は得られない、自分がなんとかするしかないと確認させる。
会話術4 沈黙の否定
【私の発言】
・・・・・・・・。
【妻の発言】
「黙って時間稼ぎしてるの?」
「そうやってれば時間がたって逃げられると思ってるんでしょ」
発言を封じておきつつ、同時に沈黙も許さないことで逃げ道をふさいでいく。
会話術5 可能性の否定
【私の発言】
今回は本当にごめん。自分ではすぐわからないかもしれないから、都度予定に変更がないか確認するようにするよ。
【妻の発言】
「どうせあなたは変わらないよ」
「次もまた忘れて同じこというんでしょ」
今後改善されてうまくいくという可能性を排除し、自分は永遠に妻の希望通りの行動が取れないという絶望感を与える。
会話術6 現状の否定
【私の発言】
ごめん、本当にごめん、なんとか、なんとか考えるから…。
【妻の発言】
「ていうか、私早く寝たいんだけど」
「いつまでそうやってるつもり?あー、私の睡眠時間奪いたんだ。そこまでして私を苦しめたいんだ。すごいねー」
全ての発言を封じておき、なおかつこの話し合い自体が罪であるとして、罪悪感と焦燥感を植え付け、追い込みをかけていく。
会話術7 追い込まれること自体の否定
【私の発言】
・・・・・・・・・(無言で頭や体ををかきむしる。じっとしていられず歩きまわる)
【妻の発言】
「はいはい、またパフォーマンス?そういうのやめてっていったよね」
「そんな行動とる頭のおかしい人と暮らせない」
追い込まれてパニックになっている状況すらも否定し、全ての感情、発言、行動を封じる。
いかがだっただろうか。まず言いたいことは、ことの始まりは間違いなく私が悪いということ。ここまで妻の信頼を失ったのは全て私の責任であるということ。私が他に類を見ないダメ人間であるということ。今後も妻に迷惑をかけ続ける前提で、なおかつ一緒に暮らしたいという無茶な願いをもっていることだ。
その上で、ただ純粋に、妻のこの会話テクニックはすごいとおもっている。言葉のやり取りだけで、こんなに簡単に、もともとそんなに感情の起伏がなく、良くも悪くも穏やかと思われていた人間(私)の精神を不安定にさせられるという実例として紹介させてもらった。